米国連邦航空局(FAA) アドバイザリーサーキュラー”整備士の疲労リスク管理”を掲載します。
昨年(2017年)12月に発行されたFAA AC(アドバイザリーサーキュラー)を紹介します。
以下をクリックしてご覧になることが出来ます。
このガイダンスは、連邦航空局(FAA)が、整備事業場(MRO)が抱える課題を考慮して、整備事業者が作業中の疲労に対処するためにとりまとめました。
航空分野において疲労に関するリスクを管理するシステム(FRMS)は(米国では)新しいものではないが、(米国の)整備の分野への適用は遅れていました。(注:現在、日本では運航乗務員への検討が始まっているが、整備士については検討も含めて全く着手されていません。)
従来のFRMSプログラムは「タスクの管理を継続すること」を目標としており、この場合の最大の脅威は居眠りであった。
しかし、整備の世界では、異なる課題があります。
「整備においては、仕事中の居眠りは疲労によって引き起こされる主要なハザードではなく、むしろ疲労した整備士が、集中力が失われることによって、整備上のミスを起こすリスクが高い」と、FAAは指摘しています。
以下は一部の抜粋です。(詳細はファイル参照願います。)
FAA 整備士の疲労と安全について ADVISORY CIRCUIAR(AC120-115 MFRM)発行
このADVISORY CIRCULAR(以後AC)には以下の内容が記載されている。
1、疲労に関する基本的概念並びにそれが整備事業場もしくは整備士にどのように影響す るか。
2、航空整備士の疲労による脅威並びに防止対策のための疲労リスク管理(FRM)に関する 情報。
3、整備事業場においてFRMを実施するメリット。
4、安全管理システム(SMS)と統合する方法。
疲労による脅威 疲労は全ての整備作業を行う上で安全性を脅かす。少なくとも、疲労は判断力を失わせ、 集中力を鈍らせ、物忘れの原因となり、気力を失わせ、やる気を失くさせるのである。疲 労の怖さは、単に公共航空の安全に影響するだけでなく、整備士、整備事業体そして業界 全体の安全と健康を脅かすのである。
深刻な疲労 深刻な疲労は、直近の睡眠(24時間内で)からの時間と現在時刻に密接に関連している。 24時間以内に8時間の睡眠を取っていなかったり、17時間以上起きていたり、深夜か ら早朝6時まで働いたりすることは、普通の人間でも深刻な疲労を引き起こす。 また、作業中の怪我の発生率は、早朝時間帯シフトに比べて、午後シフト作業では約15 %増加し、深夜シフトでは28%増加する。また、労働時間数での怪我の発生率は、8時 間労働した後に劇的に増加する。12時間シフト労働では8時間労働者の2倍に、16時 間シフト労働では8時間労働者の4倍になる。
航空整備士の疲労の原因
1、極度に長い覚醒状態にあった(16時間以上)。
2、極度に睡眠時間が短いか、又は、劣悪な睡眠環境ではなかったか。
3、いつまでも起きられない。
4、健康を回復するための睡眠を阻害する情緒的、身体的、病的な問題がなかったか。
5、睡眠の機会の大切さを軽視したり、見逃した。
6、仕事又は人生の変化。
7、基本となる仕事の流れがない。
8、仕事が生命体として睡眠に誘われている時(生体リズム)時間帯と重なっている。
9、同じ作業を長時間し続ける。さらに、少人数、休憩不十分、暗い場所、過酷な気温 化での作業。
仮眠のすすめ
仮眠は防止対策として有用である。夜勤前にとったり、深夜中の脅威を緩和する方法と しても有用である。 整備の実作業の中でも午前3時にとった20分の仮眠で作業効率が改善された。40分 の仮眠で操縦士の注意深さを明らかに増大させ、失敗の減少と刺激に対する反応時間を短 くしている。同様な報告は管制官、トラック運転手でも報告されている。
以上