全日空 B787エンジン不具合で欠航多発 TRENT1000エンジン対応に苦悩
2018年4月:
パッケージ Cエンジンに対して、国土交通省航空局(JCAB)から耐空性改善通報(TCD)が発行され、新たな点検要 件及びETOPS制限が法制化。
2018年 6月:
パッケージ Bエンジンに対しても、耐空性改善通報(TCD)が発行され、新たな点検要件が法制化。
2018年7月:
点検対象となるエンジン台数が増加し、エンジン取卸し台数が増加。 世界的に部品交換が必要なエンジンが増加する中、ロールスロイス社からの交換部品の供給がひっ迫し、結果として 計画欠航が発生した。
【ANAグループで保有しているB787と搭載エンジン 点検対象】
エンジンTYPE
パッケージ TENは点検対象外
パッケージ C 、 パッケージ B が点検対象 こちらが多くを占める。
【耐空性改善通報(TCD)概要】
パッケージ C
《点検要件》
中圧圧縮機1段&2段ブレード根本部の繰り返し点検(1段ブレード200サイクル・2段ブレード80サイクル毎)
《ETOPS 制限》
現在330分(ANAは207分)のETOPS1運航を140分に制限し、航路条件による総重量制限等が発生
※ただし、新品ブレード装着後、300サイクル未達のエンジンはETOPS制限なし
パッケージ B
《点検要件》
中圧圧縮機1段&2段ブレード根本部の繰り返し点検(1段ブレード200サイクル・2段ブレード100サイクル毎)
【 B787で起きているエンジンの不具合とは? 】
不具合 ① 中圧タービン ブレード (パッケージ C パッケージ B)
ブレードが腐食することでクラック (ひび割れ)が入るもの
不具合② 中圧圧縮機 ブレード (パッケージ C パッケージ B)
空気の流 れによる振動がブレードに加わり、クラックが入るもの
①② いずれの不具合も放置すると、運転中にブレードが欠損しエンジンが停止する事態に陥る可能性があるた め、不具合が見つかったエンジンは取り卸され、エンジン修理ショップにてブレードが交換されます。 しかし、不具合が発生したエンジンが全世界的に多くなっていることから、エンジンメーカーであるロールスロイ ス社からの修理用部品の供給が不安定になっており、結果として修理待ちのエンジンが多数発生してAOG が増える状況になっています。 加えて、これらの不具合については、安全の堅持のために繰り返し点検の実施が求められています。一定 の期限内に点検機会を確保する必要があり、機材繰りの制約となっている。
ETOPS・・・双発機においてエンジン1基が飛行中に停止した場合でも、一定時間内に代替空港に緊急着陸することが可能な運航路で飛行 する運航方式
AOG・・・Aircraft On Groundの略 航空機が飛べずに地上にいる状態を指す
以上