ANAの新フライトオペレーション(新FO)では、何がどう変わったのか

2016年04月03日 15:55

<新FOとは>

「航空機の便間インターバルにおいて、機材不具合による整備作業が発生しない場合には機側整備士を配置しない体制のこと」と、ANAは説明しています。

この体制はこれまでの体制から、何がどう変化していくのでしょうか?

既にトライアルとしてのステップ1が2016年1月27日から開始されています。

最終的に全日空が目指す新FO(フライトオペレーション)体制はどうなるのでしょうか、

新FO体制で、関連する各職種の業務がどのように変わるのか特徴的な変化を見てみましょう。

 

新FOの概要.pdf (83352)

 

これまで、全日空のライン整備では、便間インターバルにおいて、有資格整備士による飛行間点検を行っていました。B787など一部の機種には法的な確認行為が不要な機種もありますが、整備士による実質的な点検作業は現在も行われていました。飛行機に不具合があれば、修復するか、持ち越すかの判断を行い、必要な整備処置を行い、有資格者による確認行為を行います。大きな不具合の場合には整備事務所に応援を求め複数名以上で対応します。また、整備士はHO(ヘッドセットオペレーター業務)とSW(サプリメントワーク)などのフライトオペレーター(FO)業務を行い、機側における地上業務の統括責任者の役割も担ってきました。

 これが、新FO体制では、飛行間点検は行わない体制になります。会社は、全日空グループが保有している全機種において、外周検査を必要としない型式であるとして、不具合がない場合は整備士を機側に配置しない。不具合の無い機体においてはWalk Around Checkを含むTurn Aroundオペレーションは整備士を除く体制で完結する。としています。(ETOPS Flight、国際線B777等の適用除外あり、不具合のある機体には整備士を対応させ整備を行います)

 

グランドハンドリングの機側の体制(羽田の例)は、これまで様々な変更により人員を削減され現在ANAASでは3名でクルーを組み、ロードマスター・トーイングタグ操作・PBB担当を担っています。作業は持ち便対応ではなく、1便作業が終われば無線で次の指示を受けるため、次便の状況が分からず、機側に行ってから器材・車両・人員等を調整するので、SPOT間を走り回らざるを得ないなど、アップアップの状態です。ここにこれまで整備士が機側で行ってきたFO業務が人員増なしにグランドハンドリングの作業として加わります。

パイロット(機長)は、専門家である整備士の目で行っていた点検がなくなるため、ヘッドセットオペレーターのグランド監視と自らの機体の外観点検(Exterior Inspection)で運航できるかどうかの判断をしなければなりません。